親子の盃は交わされたはずだった
巧妙に仕組まれたトラップの数々
動く小宮 動かざる有賀 暗躍する謎の女
時代の天秤は傾くのか
小宮が動いた 全てを手にするために
ここに始まる令和の乱
誰か、止めてみろ
ここは有賀の事務所、小宮からの突然の連絡。
2人は2年ぶりに再会を果たした。
有賀は怪しい動きをキャッチし、念入りに準備をしていた。
小宮が挑発的な言葉を並べる
激昂した有賀は、身を乗り出し小宮に詰め寄る
小宮がウンコ棒を取り出し、圧倒的に優位に立った。
しかし・・・その時・・・!!
妖艶な香水の香りと共に、
ひとりの怪しげな女が入って来た。
彼女の名前はコードネームLUNA。凄腕の殺し屋だ。
LUNAは有賀の耳元で何か囁く。ニタニタ笑う有賀。
小宮が胸元からデザートイーグルを取り出す。
殺傷能力とは裏腹に、銀色に輝く銃身は美しく光り輝いた。
その刹那。
有賀は一瞬の動きで身をひるがえす。
代々伝わる日本刀に手をかけ、その鞘を払うと刀身は怪しく光り輝いた。
時が止まり、沈黙が流れる。
拳銃VS刀 有賀にとっては絶対絶命の状況が訪れたかのように見えた。
だが、有賀は落ち着いていた。
弾丸が自身に届くより先に小宮を絶命させるのに十分な距離だからだ。
小宮もそれは十分に分かっていた。
背中を冷たい汗が伝っていく。
少しの動きも許されない。
緊迫した沈黙が続く。
思えば2人の会話はいつも有賀から話し始めた。
今日は違う、俺が変えてやるんだ。
小宮の想いが彼を動かす。
恐らく初めてだろう。先に話すのは。
小宮はゆっくりと口を開いた、その引き金に指をかけながら。
小宮には勝算があった。ここまでは想定通り。
LUNAを呼んだのは小宮だった。
2人は昔、恋人同士だったのだ。
この状況まで引き出せばあとはLUNAがやってくれる。
有賀を殺ったあとは、2人で逃避行だ。
LUNAが、ポケットに忍ばせた重く冷たいものを有賀の後方で静かに構えた
いいぞLUNA、その引き金を引け。
小宮は勝利を確信した。
次の瞬間、沈黙を引き裂くような轟音が響き渡る。
LUNAの相棒 XDMが唸りを上げたのだ。
激しい銃声と共にスミス&ウェッソンの弾丸が押し出された。
その弾丸が貫いたのは小宮だった 苦しそうなうめき声を上げた後、その体から力が抜けていくのが分かった。
LUNAは静かに拳銃をおろし、小宮のもとへ行き冷静に状況を確認する。
気を良くした有賀は約束よりも1束多くLUNAに手渡す。
LUNAが消えたのは、それから数日後だった。
場末のゲームセンターで、彼女の相棒 XDMが発見される。
現場には50口径から放たれた薬きょうと、僅かに残る火薬の匂い。
まるでデザートイーグルの咆哮がまだ残っているようだった。